神戸地方裁判所 昭和54年(わ)226号 判決 1979年6月18日
本籍
兵庫県宍粟郡山崎町庄能一三一番地の三
住居
同町今宿二六一番地の一
会社役員
三渡信彦
昭和五年一月一六日生
罪名
所得税法違反
検察官
石田昌司 出席
主文
被告人を懲役四月及び罰金六〇〇万円に処する。右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、兵庫県宍粟郡山崎町今宿二七七番地の一において、「三渡材木店」の名称で建築用木材等の販売業を営んでいたものであるが、所得税を免れようと企て
第一 昭和五〇年分の実際の所得金額は二、三八二万六、三三三円、これに対する所得税額は七二四万八、五〇〇円であるのにかかわらず、収入金の一部を除外し、よって得た資金を架空名義の定期預金とするなどの不正の方法により所得を秘匿した上、同五一年三月八日、同町鹿沢七八番地の七所在の山崎町役場において、所轄龍野税務署長に対し、所得金額が四一五万二、一七四円、これに対する所得税額が六二万一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税六六二万八、四〇〇円を免れ
第二 同五一年分の実際の所得金額は三、一〇三万一、九三二円、これに対する所得税額は一、〇八九万五、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じた上、同五二年三月一四日、同町役場において、同税務署長に対し、所得金額が六三〇万五、八八六円、これに対する所得税額が八一万七、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一、〇〇七万七、三〇〇円を免れ
第三 同五二年分の実際の所得金額は四、〇九七万八、〇八五円、これに対する所得税額は一、六一七万八〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正手段を講じた上、同五三年三月一四日、同町役場において、同税務署長に対し、所得金額が一、二五三万一、五七四円、これに対する所得税額が二八五万九、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一、三三一万一、六〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
第一の事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲一号の分)
一、大蔵事務官作成の昭和五〇年分所得税確定申告書騰本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検甲七号の分)
一、大蔵事務官作成の昭和五三年一二月一六日付査察官調査書
一、大阪国税局査察部長作成の「三渡信彦(三渡材木店)との取引の照会について」と題する書面(添付の明細書を含む)
一、姫路木材市場協同組合作成の三渡材木店支払内訳書
一、三渡和子の大蔵事務官に対する昭和五三年一二月一四日付質問てん末書
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和五三年一一月二四日付質問てん末書
第二の事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲二号の分)
一、大蔵事務官作成の昭和五一年分所得税確定申告書騰本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検甲八号の分)
一、被告人作成の昭和五三年一一月二日付確認書
一、井口英夫作成の井川英俊宛書面
一、中尾喬一作成の「森林補助金等の照会に関する件」と題する書面
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和五三年一二月二一日付(検甲五六号の分)質問てん末書
第三の事実
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(検甲三号の分)
一、大蔵事務官作成の昭和五二年分所得税確定申告書騰本
一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料(検甲九号の分)
第一、第二の事実
一、大蔵事務官作成の昭和五三年一二月二七日付査察官調査書
第二、第三の事実
一、大蔵事務官作成の昭和五三年一二月二二日付査察官調査書
一、被告人の大蔵事務官に対する昭和五三年一一月九日付質問てん末書
全事実
一、大蔵事務官作成の証明書
一、大蔵事務官作成の昭和五三年一二月八日付、同月一九日付、同月二三日付、同五四年一月五日付及び同月六日付査察官調査書
一、関弘一、三渡和子(二通)各作成の確認書
一、小西スミヨ、遠藤弘之、関弘一、蔵屋俊夫、田路信男、西川俊助、木南敏夫及び武木田考夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、三渡和子の大蔵事務官(昭和五三年一〇月二〇日付、同年一一月三〇日付、同年一二月一日付、同月一三日付、同月一五日付、同月二一日付、同五四年一月一九日付(二通)に対する各質問てん末書及び検察官に対する供述調書
一、被告人の大蔵事務官(昭和五三年一〇月一九日付、同年一一月二日付、同年一二月七日付(三通)、同月一四日付、同月一五日付、同月二一日付(検甲五七号及び五八号の分)、同五四年一月一九日付(二通)及び同月二九日付(二通)に対する各質問てん末書並びに検察官に対する供述調書
一、被告人の当公判廷における供述
(法合の適用)
各所得税二三八条一項(同項後段により懲役と罰金を併料)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い第三の罪の刑に加重)、四八条二項、一八条、二五条一項
(裁判官 荒石利雄)